血液中の過剰なコレステロールが動脈硬化の原因に! 脂質異常症

みなさんは、脂質異常症という病名からは何を思い浮かべますか? 脂質異常症は、糖尿病と高血圧と並んで3大生活習慣病にあげられています。しかし、糖尿病や高血圧に比べると、やや関心が薄いかもしれません。しかし、厚生労働省の調査によると、日本人の成人男女の約3割は脂質異常症が疑われるといった結果になっており、非常に身近な病気であることに驚かされます。さて、脂質異常症とは、どのような病気なのでしょうか。

脂質異常症とは

血液には、いくつかの種類の脂質が含まれています。そうした脂質のうち、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪――この三つのどれか一つでも数値に異常があると、(他の病気との関連なども考慮したうえで)脂質異常症と診断されます。数値で表すと、LDLコレステロール140mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満、中性脂肪150mg/dl以上(いずれも空腹時採血として)となっています。

LDLコレステロールとHDLコレステロールと中性脂肪

コレステロールは、細胞膜の生成に欠かせない物質です。また、胆汁酸の材料であったり、ビタミンの代謝に関わるといった、とても重要な役割をしています。コレステロールは食品から摂取するだけでなく、その多くは肝臓で作られます。血液によって身体中へ運ばれていくのが、LDLコレステロール。使用されなかったLDLコレステロールを回収して肝臓に戻すのがHDLコレステロールです。中性脂肪は、皮下脂肪となる脂質です。中性脂肪の増加は、LDLコレステロールの増加をもたらします。

脂質異常症はなぜこわい

血液中にLDLコレステロールが増え過ぎると、それらは血管の壁に入りこんでコレステロールの貯まりとなります。この貯まりは血管を塞いだり、血管を破れやすい状態にします。この状態は「粥状じゅくじょう動脈硬化」とよばれ、動脈硬化のほとんどはこのタイプです。つまり脂質異常症は、動脈硬化を引き起こす病気なのです。そして、動脈硬化は、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞、狭心症といった、死亡や重篤な後遺症につながる病気の原因となります。

脂質異常症の発見と治療

脂質異常症には、目立った自覚症状がないといった特徴があります。このため、重篤な合併症を引き起こす前にこの病気を発見するには、健康診断や人間ドックで行なわれる血液検査が必要になります。脂質異常症であると診断された場合は、食事や運動といった生活習慣の見直しから治療が始まります。さらに、喫煙習慣が脂質異常症の悪化要因となっているので禁煙も重要となります。生活習慣の見直しだけではコレステロールや中性脂肪の数値に十分な変化が現われない場合や、合併症の発症リスクが高い場合は、薬物療法が行なわれます。

まとめ

脂質異常症は、動脈硬化を引き起こす危険な病気です。健康診断や人間ドックで早期に発見して、生活習慣を改善することで重篤な病気のリスクを減らすようにしていきましょう。