三つの危険なサイン すぐに救急車を! 脳梗塞

突然――箸がもてなくなった。あるいは、ろれつが回らない。片側の口が垂れている……。これらは、脳梗塞の発症を知らせる重要なサインとなっています。脳梗塞は、死亡につながるだけでなく、重い後遺症が残る可能性のある病気です。サインをキャッチしたら、すぐに救急車を呼ぶようにしてください。

三種類の脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管がふさがることで発症します。血管がふさがると、脳細胞に血液が届かない、あるいは届きにくくなり、やがては脳細胞の壊死へと繋がっていきます。そして、脳細胞に障害が起きた部位によって、全身にさまざまな症状を引き起こします。
脳梗塞は、おもに次の3つのタイプに分けられます。
(1)ラクナ梗塞=脳の深い部分の細い血管がふさがるタイプ。日本人では最も多い。
(2)アテローム血栓性脳梗塞=脳の太い血管がふさがるタイプ。血管内部にコレステロールの固まりができ、そこに血小板が集まることで血管が詰まる。
(3)心原性脳梗塞症=心臓にできた血液の固まりが剥がれ、血液によって脳へ運ばれて血管をふさぐタイプ。

  

脳梗塞の原因

(1)と(2)の脳梗塞を引き起こす原因は動脈硬化、(3)は心臓の病気が脳梗塞の原因となっています。(1)(2)(3)に共通することは、生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症)が関連し、また悪化要因ともなっている点です。さらに(3)のタイプでは、特に心臓の不整脈に注意が必要です。不整脈は、脈が速い(あるいは遅い)、不規則、飛ぶといった脈の打ち方に異常が現われることです。脈に異常があると、心臓のなかに血液の固まりが生じやすくなり、脳梗塞のリスクが高まります。

脳梗塞は時間との闘い

脳梗塞を発症したときは、「治療開始までの時間」が非常に重要となります。脳梗塞による脳細胞の壊死は、時間とともに進んでいきます。そして、脳細胞の壊死が進むほど、重い障害が残る可能性は高くなります。早く治療を行なえば、こうしたリスクの軽減につながります。また脳梗塞の治療に効果的とされる、血液の固まりを薬で溶かす治療法(経静脈血栓溶解療法)や、カテーテルで血管内の血の固まりを取り除く治療法(血栓回収療法)には、発症から治療開始までの時間に制約があることも関係しています。

脳梗塞三つのサイン=必ず覚えてください!

治療開始までの時間を短縮するには、まず、脳梗塞発症時の代表的な症状を知っておく必要があります。脳梗塞のサインとなる症状は、次の三つです。
「身体の片側(腕や脚)の麻痺」「顔のゆがみ」「言語障害や失語障害」
この三つを必ず覚えて、これらの症状のうちどれか一つでも起きたときは(症状が軽くても)迷わず救急車を呼んでください。特に注意したいのは、脳梗塞のサインとなる症状が起きたが、短時間で元に戻ったというケースです。これは「一過性脳虚血発作」と呼ばれるもので、重篤な脳梗塞を発症する前触れかもしれない症状です。一過性脳虚血発作を放置しないで再発予防に取り組めば、脳梗塞のリスクを大きく減らせる可能性があります。脳梗塞のサインが数分で消えたとしても、ためらわずに救急車を呼びましょう。