・最近、とても疲れやすい。
・たくさん食べているのに体重が減る。
・目が飛び出てきたように感じる。
こうした方は、この病気を疑ってみる必要があります。
甲状腺ホルモンの分泌が過剰に
甲状腺は、のど仏の下あたりにあり、身体の新陳代謝を促進する甲状腺ホルモンを分泌する臓器となっています。この甲状腺の機能が亢進して、過剰なほど甲状腺ホルモンが分泌されるのがバセドウ病です。
バセドウ病は、自己免疫疾患に分類されています。
自己免疫疾患とは、正常な細胞を異物とみなして、大量の抗体を作り出すことで過剰に刺激してしまう病気です。
バセドウ病の場合は、甲状腺が異物とみなされ、甲状腺を刺激するTSHレセプター抗体が産生されます。これによって甲状腺ホルモンの分泌が過剰になります。
身体に大きな負荷をかける病気
甲状腺ホルモンは、身体の新陳代謝に欠かせないホルモンです。しかし、過剰になると身体に大きな負担がかかります。「深夜寝ている間も、身体はジョギングをしている状態」とも例えられます。
具体的には、慢性的な疲労感、動悸や手足の震え、頻脈、心房細動、大量の発汗、生理不順、下痢といった症状がみられます。更年期障害の症状に似ていると説明する専門家もいます。
放置すると死に至るリスクが
バセドウ病が進行すると「甲状腺クリーゼ」という危険な状態を引き起こす恐れがあります。甲状腺クリーゼは、バセドウ病の治療を受けていない(あるいは、治療を自己判断で中断している)といったケースで発症するリスクが高まります。
こうしたとき、なんらかの感染症への罹患や、ケガ・手術といったストレスを受けると、複数の臓器に急速な機能低下が起こり、意識障害や呼吸不全が起こり死に至ります。
負担の少ない薬物療法
バセドウ病の治療は、薬物療法が第一選択肢となります。定期的に行なわれる血液検査をもとに、薬によって血液中の甲状腺ホルモンの量をコントロールします。
治療の過程で甲状腺の腫れはおさまり、耐えられないような自覚症状は緩和されていきます。
薬物療法は長期にわたりますが、苦痛をともなうものではありません。医師の指示に従って定期的に通院し、正しく薬を服用すれば、支障のない普段どおりの生活を送ることができます。
放射線治療と手術療法
薬物療法だけでは症状が改善されない、あるいはそれ以外の治療を望まれる場合には、放射線療法(アイソトープ治療)や手術療法が選択されます。放射線療法は、放射線を直接照射するのではなく、放射性ヨードの入ったカプセルを飲むだけのものです。
手術療法は、甲状腺の大部分を切除する方法です。他の治療法よりも短期間での完治が期待でき、病気の再発も少ない方法ですが、入院が必要になります。