心身の衰えを感じたら……
フレイルは、「虚弱」を意味する英語「Frailty(フレイルティ)」から作られた言葉です。身体的な虚弱だけでなく、精神的な虚弱や社会性の低下も含めて、健康と要介護の中間的な状態を表しています。フレイルに注意が向けられる理由は、今はそうではなくても、いずれは要介護になるリスクが高くなっている状態だからです。ところで皆さんは、フレイルのほかにも、「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」や「サルコペニア」という言葉を聞いたことがあると思います。ロコモは運動機能の低下、サルコペニアは筋力の減少を意味していて、フレイルも含めてこれら三つは、重なりあっていたり、互いに関連し合うところがあります。
フレイルになる原因とフレイルサイクル
フレイルになる原因はいくつも考えられます。例えば、精神的な落ち込みから食欲を失ってしまった場合——食欲の減少は、意欲の低下につながり、それは普段の活動に影響します。
ここで注意しなければならないことは、身体の活動の減少がさらに食欲を失わせるという、悪循環を引き起こす恐れがあることです。これは、フレイルサイクルと呼ばれています。
フレイルサイクルをどこかで断ち切らないと、心身ともに虚弱が進んでいきます。

フレイルになっていないかセルフチェック
フレイルのセルフチェックには様々な方法がありますが、一般的なものとして、まずは次の5項目をチェックしてみてください。3項目以上該当するとフレイルの恐れがあります。①6か月間で2~3㎏以上の(意図しない)体重減少
②2週間あまり、理由もなく疲れたような感じがする
③運動や体操をしていない
④歩行速度が、1m/秒未満
⑤利き手の握力が、男性26㎏未満、女性18㎏未満
フレイルを予防・改善のためのポイント
フレイルを予防・改善していくために、3つのポイントがあげられています。①食事の改善(栄養バランスの取れた一日3度の食事)
②運動習慣(ウォーキングやストレッチなど、今より10分多く運動)
③社会参加(趣味やボランティアを通じて、社会と積極的な関りを)
コロナ禍におけるフレイル
コロナ禍にあって、様々な活動に自粛要請がされています。実際に、観劇や映画鑑賞を目的とした外出や、友人・親戚宅訪問のための外出は、コロナ禍以前と比べて約80%減少しているといったデータもあります。
フレイル対策と新型コロナウイルスの感染対策を両立させることは、難しい面もあります。しかしフレイル対策をすることは、免疫力の向上を通じて、感染症対策にも繋がっていきます。
ぜひとも、ワクチン接種を含めた感染症対策を行なったうえで、フレイル対策にもしっかりと取り組んでいきましょう。
