高血圧を防ぐ!~血圧が130/80mmHgを超えたら、生活習慣の改善を~



 イギリスでは食品業界を巻き込み、加工食品に含まれる塩分の値を下げさせるという試みが国をあげてなされました。その結果、疾患や心臓病を患う人を大幅に減らすことに成功しました。減塩が健康に多大な影響を与えることが証明されたのです。 ここには、血圧の問題が大きく関係しています。

高血圧が健康を奪う

 心臓は、収縮と拡張を繰り返しながら前進に血液を送りだす、ポンプのような役割をしています。
 血圧は、心臓が収縮・拡張したとき、血液によって「血管にかかる圧力」を測定した数値です。高血圧は、血管にかかる圧力が高い状態のことを意味しています。
 血管には弾力性があります。しかし、血管に高い圧力がかかり続けると、血管は厚みを増し、硬くなります。これが、動脈硬化です。高血圧と動脈硬化は、互いに悪化させ合う関係にあります。高血圧で動脈硬化が起こり、動脈硬化で血圧はさらに高くなります。
 動脈硬化の恐ろしい点は、硬くなった血管が詰まったり、破れたりすることで、臓器の壊死を起こすことです。
 脳卒中(脳出血/脳梗塞)や心臓病(狭心症/心不全)といった生命の危機に至る病気も、「最初は高血圧から始まっていた」ということが多くあります。


血圧と塩分の関係

 血管にかかる圧力が高くなる原因のひとつは、血液に含まれる水分量が増えることです。増量した血液を循環させるためには、より高い圧力をかけることが必要になるためです。
 では、血液に含まれる水分は、なぜ増えてしまうのか―――その原因となっているのが、「塩分」です。血液中の塩分濃度を一定に保つためには、より多くの水分が必要になるからです。
 塩分の過剰摂取以外にも、高血圧の原因は様々なことが考えられます。
 血圧が高い人は放置をせず、かかりつけの医師に相談するか、内科を受診するようにしましょう。

ご自身の血圧と比べてください

 昨年4月、日本高血圧学会は『高血圧治療ガイドライン2019』を発表しました。
 まず覚えておきたい血圧の値は、収縮期120~129/拡張期80mmHg未満という数値です。この数値の範囲に収まっていれば、血圧は正常とされています。
 ひとつ注意したいことは、収縮期血圧か拡張期血圧のどちらかが正常値より高い場合でも、高血圧と診断される点です。
 新しいガイドラインで示された高血圧の基準値は従来と同じく、診察室(病院で測った)血圧が140/90mmHg以上で、家庭(自宅で測った)血圧が135/85mmHg以上です。
 診察室と家庭に分けてあるのは、病院で血圧を測ると緊張感などもあって、数値が高めとなる傾向があるからです。
 高血圧の基準値を超えている人には、生活習慣の積極的な改善だけでなく、必要に応じて降圧薬による治療を開始することが推奨されています。
 また、今回のガイドラインの特徴は、正常値と高血圧の境界の方―――診察室血圧が130/80mmHg以上の人にも、生活習慣病の改善が必要とされ、正常値を目指して血圧を下げるように提言されていることです。
 日本人の収縮期血圧の平均は、男女ともに130mmHgを超えています。生活習慣病の見直しは急務と言えるでしょう。
 食事は減塩を。そして、喫煙やアルコールの過剰摂取を止め、運動習慣とストレス解消法を生活に取り入れることが大切です。