動脈硬化をもたらす最大の原因!~脂質異常症~

三大生活習慣病のうち、糖尿病は、甘い物(糖分)の摂り過ぎが原因で、失明や手足の切断といった危険があること。高血圧であれば、塩分の摂り過ぎが原因で、脳や心臓疾患で死亡する恐れがあることなどがすぐに思い浮かびます。
では、脂質異常症はどうでしょうか?

脂質異常症と動脈硬化

  脂質異常症は、血液中の脂質が増え過ぎた状態のことです。
 血液中の脂質が増え過ぎると、脂質の一種であるコレステロールが、血液の壁に溜まり動脈硬化を引き起こします。この動脈硬化は、「粥状(じゅくじょう)動脈硬化」とよばれ、実は、動脈硬化のほとんどはこのタイプです。
 つまり、脂質異常症は、動脈硬化を引き起こすもっとも大きな原因となっている病気なのです。そして動脈硬化は、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞、狭心症といった、脂肪や重篤な後遺症につながる病気を引き起こします。


脂質異常症の原因は?

 脂質異常症の原因としてあげられているのは、食事から摂る脂肪の過剰摂取です。また摂取する「脂肪の質」にも目を向ける必要があります。
 脂肪を多く含む食品の摂取を控えて、なおかつ、動物性の脂肪ではなく、なるべく魚介類や植物から採られる脂を摂取することが理想です。
 では、どのくらいの量の脂肪が過剰摂取にあたるのか――この点に関して厚生労働省は明確な基準を設けていません。
 これはなぜかというと、脂肪の適切な摂取量は、人によって大きく変わってくるからです。この点には十分注意しましょう。

食事だけが原因ではない?

 血中の脂肪のうち、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪――この三つのうち、どれか一つでも数値に異常があると、(他の病気との関連なども考慮したうえで)脂質異常症と診断されます。
 LDLコレステロール、HDLコレステロールは、食事から摂取する量よりも、多くの量が肝臓で作られます。またコレステロールの働きも肝臓でコントロールされています。このことから、肝臓のトラブルが脂質異常症の原因となることがあります。
 中性脂肪は、食事によって取り込んだエネルギーが余った場合に肝臓で合成される脂質で、皮下脂肪として蓄えられます。このため、運動不足やアルコールの過剰摂取などが中性脂肪の増加をもたらす原因となります。

脂質異常症を発見・治療するには?

 脂質異常症は健康診断や人間ドッグで行われる血液検査で発見する必要があります。
 脂質異常症であると診断された場合は、食事や運動といった生活習慣の見直しから治療が始まります。
 生活習慣の見直しだけではコレステロールや中性脂肪の数値に十分な変化が現われない場合や、合併症の発症リスクが高い場合は、薬物療法が行われます。
 厚生労働省の調査によると、日本の60歳代の割合では男女とも四人に一人に脂質異常症が疑われるといった結果になっています。
 脂質異常症の疑いがあるときは放置せず、かかりつけの医師や生活習慣病の専門医にご相談ください。