内臓脂肪の増加(肥満)から始まる メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームは、糖尿病・高血圧・脂質異常症のリスクを増加させ、脳梗塞や心筋梗塞といった、命に関わる重篤な病気や合併症を引き起こすリスクがあります。


生活習慣病の悪化要因に

 メタボリックとは「代謝」を意味する言葉で、栄養素を分解・合成しエネルギーに変化させ、不要なものを排出することを言います。
 この代謝に大きく関係しているのが、「内臓脂肪」です。
 内臓脂肪は代謝時に、身体機能の維持・調節のため、さまざまな物質に影響を及ぼします。

【物質名と働き】
○レプチン―食欲を抑制する働きを低下させる。
○TNF-α―インスリンの働きを妨げ、血糖値をあげる。
○アンジオテンシノーゲン―血圧を上昇させる。
○PAI-1―コレステロールによって血栓(血の塊)をつくる。

 これらの物質と働きにより内臓脂肪の増加が、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症のリスク(悪化要因)になっていることがわかります。



生活習慣病へとつながる数値

 メタボリックシンドロームの診断基準は、次のようになっています。
○ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm以上、女性90cm以上。
○血糖値、血圧、コレステロール値のうち、2つ以上が基準値より高い。


重篤な病気と合併症を引き起こす

 メタボリックシンドロームの診断基準を超えた状態を放置することは、次のような、命に関わる重篤な病気や合併症につながる恐れがあります。
○糖尿病=失明、四肢の切断、腎不全。
○高血圧=脳出血、くも膜下出血。
○脂質異常症=狭心症、心筋梗塞、脳梗塞。
○脂肪肝=肝硬変、肝がん。


メタボリックシンドロームの解消に向けて

 40歳以上75歳未満の医療保険加入者の方は、「特定健診(メタボ健診)」の対象者になっています。特定健診の結果、メタボリックシンドローム(メタボ)と判定された40~64歳の人は、特定保健指導による「積極的支援」が受けられます。初回面接のあと3~6か月の継続的な支援により、内臓脂肪の減少に取り組みます。
 食生活においては、脂肪分と塩分の摂り過ぎに注意し、肉類だけでなく、魚類や野菜類、豆類、乳製品をバランスよく摂取する。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を習慣的に行なうといったことが大切になります。
 メタボリックシンドロームによる健康リスクを診断し、生活指導・治療を行なっている医療機関も数多くあります。
 メタボリックシンドロームの診断基準に該当する方はかかりつけ医に相談し、対策に取り組むようにしてください。