高血圧-動脈硬化の進行

日本で高血圧を患う方は約4300万人いると推定され、国民病とも呼ばれています。
高血圧は動脈硬化を引き起こすことで、重篤な病気の大きなリスク要因となっています。
まずはご自身の血圧を測り、高血圧かどうか確認するところから始めましょう。

血管にかかる圧カ=血圧

 心臓は、安静にしていても1分間に60~100回ほどの収縮と拡張を繰り返しながら、5リットルもの血液を送りだしています。
 このとき、送りだされた血液によって血管に圧力がかかります。
 これを測定した数値が血圧です。
 そして、心臓が縮まって血液を送りだすときの血圧は、収縮期血圧。心臓が膨らんで血液をためている状態のときは、拡張期血圧となっています。このふたつの数値によって、血圧が正常かどうかの分類がされます。




血圧は高くなるほど危険

 血圧の分類のうち「正常高値血圧」は、高血圧予備軍と診断されます。
 上の表のなかでは、Ⅲ度の高血圧が非常に危険な状態です。医療機関を受診して、降圧薬治療の開始が必要とされます。
 正常な血圧とⅢ度高血圧をイメージとして比較するには、噴水の高さに例えるとわかりやすいでしょう。
 収縮期血圧が適正値120mmHgの場合、噴水の高さは男子中学生(14歳)の平均身長と同じぐらい(約163cm)になります。
 一方、Ⅲ度高血圧180mmHgの場合は、噴水の高さが約245cmになります。これは、床から天井ほどの高さに相当します。
 これほど大きな差(負担)が、Ⅲ度高血圧になると、常に血管にかかり続けてしまうのです。


高血圧が重篤な病気の引金に

 高血圧は、動脈硬化の重大なリスク因子となっています。
 高血圧によって動脈硬化が引き起こされるメカニズムは次の通りです。
 ①高い血圧によって血管の内側が傷つき、コレステロールの塊(プラーク)ができる。
 ②そこにカルシウムが沈着して石灰化を起こし、動脈が硬くなる。
 動脈硬化の恐ろしい点は、硬くなった血管が詰まったり、破れたりすることで、臓器の壊死を起こすことです。
 脳卒中(脳出血/脳梗塞)や心臓病(狭心症/心不全)といった生命の危機に至る病気も、「最初は高血圧から始まっていた」ということが多々あります。
 また、高血圧と動脈硬化は、互いに悪化させ合う関係にあります。高血圧で動脈硬化が起こり、動脈硬化で血圧はさらに高くなるためです。




血圧を測定してください

 医療機関の多くは、無料の血圧測定器を備えています。ぜひ、ご自身の血圧を調べてみてください。
 まず覚えておきたい血圧の値は、収縮期120~129/拡張期80mmHg未満という数値です。この数値の範囲に収まっていれば、血圧は正常とされています。
 ただ、収縮期血圧と拡張期血圧のどちらかでも正常値より高ければ、高血圧に該当するので注意してください。


高血圧を放置しない

 血圧が130/80mmHg以上の方は、生活習慣の積極的な改善が必要になります。
 塩分の摂り過ぎ、肥満、運動不足、アルコールの過剰摂取、喫煙習慣、ストレス、ミネラル・ビタミンの欠乏といったことが、高血圧の原因となります。
 血圧が140/90mmHg以上の方は、かかりつけ医に相談してください。
 先述したように180/110mmHg以上の方は、降圧薬による治療が必要な状態です。放置しないようにしましょう。