20代で発症することが多い 潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は「指定難病」です。
しかし、適切な治療を受ければ症状は改善し、症状が治まったあとも、しっかりコントロールすることで病気の進行を抑えることができます。


大腸に起こる慢性的な炎症

 潰瘍性大腸炎は、大腸のもっとも内側の粘膜に慢性の炎症、ただれ(びらん)や潰瘍が生じる病気です。
 病変は、直腸(肛門に近い部位)付近から起こり、重症化すると大腸全体にまで広がります。
 潰瘍性大腸炎のおもな症状としては、下痢、血便、腹痛です。
 下痢は、一日に10回以上起こることがあり、血便は便器が赤く染まるほどになります。腹痛は、鈍い痛みや刺すような鋭い痛みが起こります。
 下痢、血便、腹痛は、潰瘍性大腸炎の初期から見られます。こうしたことが起こったときは、かかりつけ医に相談するか、内科、胃腸科、消化器科を受診しましょう。

大きく増えている患者数

 潰瘍性大腸炎の患者数は、調査によると18万人とされています。1975年の患者数は965人だったので、大きく増加しています。
 潰瘍性大腸炎の発症者が多い年代は、20代となっています。ただ、小児から80歳以上の世代まで、幅広い年代に発症者は見られます。
 男女の比率は1対1となっており、性別による違いはありません。


症状の改善と寛解を目指して

 潰瘍性大腸炎の発症原因は、わかっていません。
 免疫機能の異常、腸内細菌の関与、食生活、遺伝といったことを中心に研究が進められていますが、決定的な答えは出ていないのが現状です。
 こうしたことから、病気の完治(完全に治すこと)は困難で、症状の改善や寛解(症状が落ち着いて安定した状態)を目指して治療は進められていきます。
 潰瘍性大腸炎の治療では、腸の炎症を抑えるための薬物療法が行なわれます。
【代表的な薬物療法】
●5―アミノサリチル酸(5―ASA)――軽症から中等症の患者に有効。飲み薬や直腸に直接投与して利用する。症状の改善効果が高い。
●副腎皮質ステロイド――中等症から重症の患者に有効。飲み薬や直腸に直接投与、あるいは注射によって使用する。強力に炎症を抑える効果がある。


医療費の助成が受けられる

 潰瘍性大腸炎は「指定難病」となっており、医療費の助成が受けられます。
 完治は難しい病気ですが、潰瘍性大腸炎の患者の生命予後は、そうでない方と同じです。
 とくに20代の方は、早期発見が大切になります。そして、治療によって症状が治まっても再発を防止するために、定期的に医療機関を受診することが必要です。