現代の日本人をもっとも煩わせているアレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、日本人の4人に一人が罹っているとされています。このためアレルギー性鼻炎は、あらゆる病気のなかで罹患者数(病気を患っている患者数)がもっとも多い病気ともなっています。

アレルギー性鼻炎(通年性と花粉症)

 人間の身体には、侵入してきた異物を排除しようとする、「免疫」と呼ばれる働きがあります。ただ、この免疫が過剰に働くと、身体に必要以上の大きな負担をかけます、これがアレルギー反応です。
 アレルギー性鼻炎は、鼻から侵入してきた物質に対して過剰なまでに反応してしまい、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状が強く現われる病気です。
 アレルギー性鼻炎には、一年中を通して症状が現われる「通年性」のものと。季節によって症状の現われる「季節性」のものがあります。
 通年性のアレルギー性鼻炎は、おもにハウスダスト(家のなかのノミやダニの死骸、繊維の屑、カビ、埃など)によってアレルギー反応が引き起こされることが多くなっています。
 もう一方の季節性のアレルギー性鼻炎は、一般的には「花粉症」として知られています。春のスギ・ヒノキ、秋のブタクサ・ヨモギのほか、60種類以上の花粉が関係しているとされています。
 この二つは相反するものではなく、通年性と季節性のアレルギー性鼻炎の両方を患うケースもあります。

アレルギー性鼻炎の検査

 アレルギー性鼻炎に罹ると、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった不快な症状から、日常生活に支障が生じます。とくに、睡眠の質には著しい低下傾向がみられます。
 アレルギー性鼻炎が疑われるのは、次のようなケースです。
①透明でさらっとした鼻水(かぜの場合は黄色っぽい)
②いつも鼻が詰まっている。
③2週間以上、くしゃみや鼻水が続いている。
 疑いのある人は、医療機関を受診しましょう。医療機関では、問診のほか、鼻の奥を診察する「鼻鏡検査」や、鼻水を調べる「鼻汁好酸球検査」、血液検査などによってアレルギー性鼻炎かどうかを診断します。


アレルギー性鼻炎—対策

 アレルギー性鼻炎を引き起こす原因となる、ハウスダストや花粉といったアレルゲン。まずは、これらを生活環境からできるだけ排除するようにしましょう。
 推奨される方法には次のものがあります。
①まめに室内を清掃する。
②カーペットを外してフローリングにする。
③カーテンをやめてブラインドにする。
④空気清浄機を設置する。
 また、アレルギー疾患全般に対して強い身体をつくるため、乳酸菌を摂取して腸の環境を整えることも有効です。


アレルギー性鼻炎—治療

 アレルギー性鼻炎は体質に関わる病気なので、病気を完全に治すことや自然治癒が非常に難しい病気です。
 個人やご家庭でできる対策と医療機関での治療を根気よく続けることで、身体の免疫力を整え、日常生活に支障がない程度に症状を軽くしていくことができます。
 治療はおもに、鼻に直接スプレーするお薬や抗アレルギー薬の飲み薬で症状を抑えます。症状が重症化している場合は、吸入器(ネブライザー)を使用する方法も検討されます。
 また、アレルゲンを少量ずつ注射して身体の免疫力を高める「減感作療法」や、鼻の粘膜にレーザーを当てる「レーザー治療」もあります。