『新しい生活様式』と『熱中症対策』

新型コロナウイルス感染症の拡大が続くなかで、熱中症で救急搬送される方が昨年より増加しています。
新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐための『新しい生活様式』と『熱中症対策』――このふたつを両立させ、同時に行なっていくことが、この夏、大きな課題となっています。


『新しい生活様式』と『熱中症対策』

 新型コロナウイルスの感染拡大が日本でも起こり始めてから、およそ半年になろうとしています。この間、感染拡大を防ぐために『新しい生活様式』の提案が、国や感染症対策の専門家からなされました。マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、3密(密集・密接・密閉)を避ける、といったことが、ここではとくに強調されています。
 その一方、『新しい生活様式』には、ケースによっては、熱中症のリスクになりかねない要素もあります。そこで、『新しい生活様式』と『熱中症対策』を両立させるために、いくつかの具体的な提案がなされています。


マスクの着用と熱中症

 新型コロナウイルス感染症対策として、マスクの着用は有効です。
 ところが、マスクを着用することで、心拍数や呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度の上昇といった、身体的な負担が生じることがあります。こうしたことから、高温多湿の環境下でのマスクの着用は、熱中症のリスクにもなります。
 マスク着用時の熱中症対策としては、次のようなものがあげられています。
①屋外において、ソーシャルディスタンスが確保できる場合は、マスクを外して休憩するようにする。
②マスクをしていると喉の渇きが感じにくくなるので、定期的な水分補給を心掛ける。
③マスクを着用しているときは、強い負荷のかかる運動や作業を避けるようにする。



エアコン使用に関する提案

 屋内での3密を避けるときに浮かびあがってくるのが、エアコン使用の問題です。室内で熱中症になった人の9割が、エアコンを使用していなかっ たというデータがあります。熱中症対策にエアコンの使用は欠かせません。
 しかし、エアコンには換気機能がないことが多く、空気の循環が阻害され、室内が「密閉」状態になりがちです。こうしたことを避けるためにも 、室内の温度の急激な変化に十分注意しながら、定期的に換気扇を回したり、窓を開けたりするようにしてください。



体温の把握で危機に備える

 体調が優れないとき……これまでは、多少無理をしてでも、仕事やレジャーに出掛けた方もいらっしゃったと思います。ただ今年は、新型コロナウイルス感染症と熱中症、どちらを防ぐためにも体調不良のときは、外出を避けるようにしましょう。
 同時に『新しい生活様式』では、日常における、「定時の体温測定や健康チェック」が求められています。平熱より体温が高いときは、熱中症のリスクも高まります。平熱を把握し、体温の変化に注意を向けることは、新型コロナウイルス感染症と熱中症のどちらに対しても有効な健康管理法です。