部位別にみると男女全体では、大腸、肺、胃、乳房、前立腺などが多くなっています。
男女別では、男性では前立腺がん、女性では乳がんがもっとも多く、それぞれ年間約10万人が新たに診断されています。
生活習慣の改善によるがん予防に取り組むとともに、がんの定期検診を受けて早期発見・治療につなげることが大切です。
前立腺がん――早期発見で高い治療成績
前立腺は男性だけに存在する臓器で、膀胱のすぐ下にあり、中央を尿道が通っています。前立腺から分泌される前立腺液は、男性の生殖機能と密接に関わっています。前立腺がんの多くは、前立腺の外側(外腺)に発生します。
前立腺がんの初期では、前立腺肥大症でみられるような排尿障害などの自覚症状は、ほとんどありません。
しかし前立腺がんが進行すると、排尿困難や頻尿、尿や精液に血液が混ざることや、骨への転移による腰、背中、股関節への慢性的な強い痛み、しびれといった症状が起こります。
前立腺がんは、50代から増え始めます。
年間死亡者数は約1万3千人で推移していますが、早期に発見され、前立腺内にとどまっている段階で治療を行えば、5年相対生存率はほぼ100%です。
前立腺がんの早期発見には、「PSA検査」が有効です。
【PSA検査】
PSA(前立腺特異抗原)の血中濃度を測定する検査です。前立腺がんだけでなく、前立腺肥大症や前立腺炎でも数値が高くなることがあります。
【治療法】
がんの進行度や悪性度、身体の状態などによって治療法が選択されます。
がんが前立腺にとどまっている場合は、放射線治療や手術療法など。骨やリンパ節に広がっているときは、ホルモン療法(がんの増殖を抑える)や抗がん剤などによる薬物療法が検討されます。
※がんの性質によっては、すぐに治療を始めず経過観察(監視療法)が選択されることもあります。

乳がん――40歳からは定期検診を
乳がんは、乳管と小葉で構成される乳腺にできるがんのことです。がん細胞が、乳管や小葉の細胞の壁のなかに止まっていれば「非浸潤がん」、細胞の壁を破って周囲に広がっている状態を「浸潤がん」と呼びます。
乳がんの多くは浸潤がんで、「手で触れるとしこりがある」というのが代表的な症状ですが、浸潤性小葉がんのようにしこりのないタイプもあります。
乳がんの早期発見のためには、しこりの有無とともに、乳房の皮膚にくぼみや引きつれがないか、乳頭から血液の混ざった分泌液が出ていないかなど、セルフチェックを行なうようにして、異変に気づいたらすぐに医療機関を受診してください。
乳がんは、30代後半から増え始め、40代後半〜50代前半に罹患率のピークを迎えます。
早期発見・治療による乳がんの5年相対生存率は、非浸潤がん100%、浸潤がんでもしこりが2cm以下で、リンパ節や多臓器への転移がない状態であれば、90%となっています。
このため40歳以上の女性には、2年に一度の乳がん検診(マンモグラフィ検査)が推奨されています。
【マンモグラフィ検査】
乳房専用のX線(レントゲン)検査。乳腺に沈着したカルシウムの微細な石灰化やしこりを、画像によって知ることができます。そのほとんどは良性ですが、形状や分布によってはがんの恐れもあるため、早期発見の鍵となります。
【治療法】
がんの進行度や悪性度、がんの性質(サブタイプ)、身体の状態などによって、手術療法、放射線治療、薬物療法などを組み合わせた治療が行なわれます。

子宮頸がん予防のカギはワクチンと検診
子宮頸がんは、子宮の入り口(子宮頸部)にできるがんです。原因のほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によります(ただし、感染しても必ずがんになるわけではない)。
イギリスでは2008年に、学齢期の女子に対する子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の公費(無料)接種が開始されました。
その結果、2020〜2024年の5年間にわたり、20〜24歳の女性では、子宮頸がんによる死亡が記録されませんでした。この研究は、ワクチン接種世代で、子宮頸がんによる死亡が大幅に減少したことを示しています。
日本においては、子宮頸がんで亡くなった方の人数は、年間約2700〜2800人となっています。また子宮頸がんは、20〜30代の女性を中心に、罹患率と死亡率が増加傾向にあり、予防の重要性が高まっています。
子宮頸がんワクチンの有効性と安全性についてWHOや厚生労働省は、多くの研究結果を踏まえ、対象年齢の女性などへの子宮頸がんワクチン接種を推奨しています。
ワクチン接種と20歳からの子宮頸がん検診を組み合わせることが、子宮頸がんの予防の大きな力になります。
