胆汁・膵液を混ぜて消化を助ける
小腸は、「十二指腸」「空腸」「回腸」の三つにわかれています。十二指腸は、胃と空腸の間をつなぐもので、みぞおちの奥側に位置しています。
「指を横に12本並べたくらいの長さ」があることから、十二指腸という名前がつけられています(実際にはもう少し長く、平均で25cmぐらい)。
十二指腸の役割は、胃で消化されたものに胆汁と膵液を混ぜて、消化しやすくしたうえで空腸に送ることにあります。
このとき、酸性度の強い消化物をアルカリ性に中和します。
ピロリ菌による腸の潰瘍
内臓における潰瘍は、粘膜が傷ついて組織に損傷が及び、くぼみや穴が開いた状態のことを言います。十二指腸の粘膜は薄く、潰瘍を発症するとこうした状態が生じる恐れがあります。十二指腸潰瘍が起こるもっとも多い原因は、何でしょうか?
それは、ヘリコバクター・ピロリ菌です。
ピロリ菌は、胃や十二指腸の粘膜に生息する細菌です。
この細菌には幼少期に感染していることが多く、除菌しない限り、胃や十二指腸の粘膜に住み続けます。
ピロリ菌が生み出す毒素は粘膜に損傷を与えるだけでなく、免疫反応が起こることで、潰瘍を引き起こします。

よく見られる症状は?
十二指腸潰瘍の症状で多いのは、みぞおちの痛みです。お腹の前だけでなく、背中側に痛みを感じることもあります。十二指腸潰瘍の痛みで特徴的なのは、空腹時や夜間に痛みを感じるケースが見られる点です。
みぞおちの痛み以外にも、食欲不振や吐き気、タール便(黒い便)など、いくつもの症状が見られます。
とくにタール便は、胃や十二指腸の出血が原因で起こるため、症状が繰り返している方は軽視できません。

内視鏡検査が重要
十二指腸潰瘍の検査では、潰瘍の状態を観察するために、内視鏡検査(胃カメラ)を使用した検査が行なわれます。同時に、ピロリ菌の有無を調べる検査や、採取した組織や細胞を調べる病理検査、血液検査、CT検査、腹部エコー検査などにより、症状が似ているがんやその他の病気の可能性も調べます。
潰瘍の治療・ピロリ菌の除菌
十二指腸潰瘍の治療では、胃酸の分泌を抑える薬や、腸粘膜を保護するための薬を使用した薬物療法が行なわれます。およそ6週間ほどの治療で治癒します。十二指腸潰瘍を患う方の97%は、ピロリ菌に感染しているというデータがあります。
ピロリ菌は、胃酸を抑える薬と2種類の抗菌薬を1週間服用する薬物療法で除菌できます(一回で除菌できない場合は、間をあけて2回)。
十二指腸潰瘍が重症化すると、多量の出血や十二指腸に穴があくといったことが起こります。こうしたケースでは入院による治療が必要となり、胃カメラによる止血術や手術療法が検討されます。