熱中症に負けない身体をつくる

年々厳しさを増す夏の暑さ。熱中症を防ぐためには、水分補給やエアコンの活用だけでなく、体温調節を担う「発汗機能」を維持することが大切です。加齢による身体の変化を理解し、日頃から汗をかきやすい身体づくりを心がけることで、熱中症に強い身体を目指しましょう。

汗が体温を守っている

 体温が上昇すると脳は、交感神経を働かせて、皮膚にある汗腺から汗を分泌します(発汗機能)。
 分泌された汗は皮膚のうえで蒸発して熱を奪う(気化熱)ことで、体温を下げます。
 熱中症による健康障害は、こうした体温調節のメカニズムが高温多湿の環境下で乱れ、深部体温(脳や内臓の温度)が上昇することで発症します。


年齢とともに衰える「汗をかく力」

 熱中症に負けない身体をつくるためには、汗をかく力の低下に注意する必要があります。
 発汗機能の低下には加齢が大きく関わっています。これによって、つぎのような影響が生じます。
①身体の水分量が低下することで、汗の分泌量が減少する。
②汗を分泌する汗腺が加齢によって小さくなることで、汗をかきにくくなる。
③汗は血液の血漿から作られるが、加齢によって皮膚の血流が悪くなることで、発汗量が減少する。
④暑さを感じる皮膚のセンサーの働きが鈍ると、気温・体温の上昇の察知が遅れ、汗をかく反応が鈍り、体内に熱がこもりやすくなる。



「べたべた汗」は発汗機能低下のサイン

 加齢による発汗機能が低下しているかどうかは、べたつく汗をかくことで意識することができます。
☆べたつく汗☆
 汗は、水分と微量のミネラルでできています。発汗したときに水分は蒸発し、ミネラルは血液中に再吸収される仕組みになっています。
 しかし、汗腺の機能が衰えるとミネラルが再吸収されず、汗として皮膚に残るため、べたつきや臭いをともなう汗になります。
 さらにミネラルが再吸収されず、血液から失なわれた状態がつづくと、めまいや頭痛、足がつるといった症状や、意識障害やけいれんといった熱中症の危険な状態が起こるリスクがあります。


水分補給と適度な運動がカギ

 熱中症に強い身体をつくるためのポイントをあげます。
【こまめな水分補給】
 喉が渇く前に、こまめな水分補給を心がけましょう(目安の一例・コップ1杯(約200mL)の水を、30分に1回補給)。これにより身体が脱水状態になることを防ぎ、汗をかきやすくします。
(注意!)一時間に1Lを超える量の水や、一日で10Lを超える量の水を摂取することは止めましょう。一度に大量の水を摂取すると、血液中のミネラル(塩分)量が低下して低ナトリウム血症を引き起こし、重大な健康障害を起こす恐れがあります。



【適度な運動】
 ウォーキングやストレッチなどの汗ばむ程度の軽い運動を習慣にすることは、汗腺の働きや血流を良くし、発汗機能の向上につながります。
 また筋肉は、体内の水分を蓄える貯蔵庫の役割を果しています。筋肉量の維持も健康的な汗をかく助けになります。



【食事】
 一日に必要な水分の約半分は、食事から摂取しています。
 暑くて食欲がないときでも、おかゆや雑炊、夏野菜を煮込んだスープなどで、水分とともにミネラルも補給するようにしましょう。


汗のかきかたがおかしいと感じたら

 熱中症対策には身体づくりだけでなく、エアコンを適切に使用することが、猛暑・酷暑を迎える夏を健康にすごすためには欠かせません。
 また、汗をかきにくい(反対に大量の汗をかく)ことには、なんらかの病気が関係していることがあります。
 熱中症のリスク要因ともなるため発汗に異常を感じたら、かかりつけ医に相談しましょう。