禁煙と体重マネジメント

「禁煙すると、体重が増える」――こうしたことを気にされる方がいらっしゃいます。禁煙した方の多くが2〜4kgの体重増を経験している、といった報告もあります。
とはいえ、がんや脳卒中、狭心症、心筋梗塞の発症リスクは、たとえ5kg体重が増えても、禁煙することのほうが低くなります。
禁煙したときの体重増が気になる場合、その悩みを解消するには、運動習慣と禁煙補助薬がポイントになります。

禁煙で体重が増えやすくなる3つの理由

 禁煙で体重が増える原因としては、つぎの3つが考えられています。

①ニコチンによる脂肪の分解がなくなる
 タバコに含まれるニコチンには、基礎代謝をあげて脂肪の分解を促す作用があります。禁煙するとニコチンによるこの働きがなくなるため、太りやすくなるとされています。
②ニコチンによって抑えられていた食欲の亢進
 ニコチンには、食欲を抑える働きがあります。さらにニコチンには、舌が味を感じるための「味蕾(みらい)」に悪影響を及ぼし、味覚を低下させます。禁煙によってこれらの働きが正常化することで、食欲が亢進するだけでなく、より美味しく食べることができるため、肥満につながる原因となります。
③ニコチン依存による離脱症状
 喫煙には、ニコチン依存とともに、習慣による心理的依存が大きなウエイトを占めます。喫煙習慣がある人は、ニコチンによる離脱症状や口さみしさを紛らわせるために、お菓子や飴、ガムなどの間食が増える傾向にありますが、結果として糖分の過剰摂取が起き、肥満の一因となります。



運動習慣で体重増加を防ぐ

 禁煙をしながらも体重の増加を抑えるには、有酸素運動を取り入れた体重マネジメントが最適です。

【有酸素運動を習慣に】
 ウォーキングやジョギング、エアロビクス、水泳、散歩、ガーデニングなど、酸素を取り込みながら身体を動かすことで、基礎代謝をあげて、脂肪を消費します。
 運動量としては、ややきついと感じる程度。汗ばむぐらいを目安にしてください。
 タバコを吸いたい(離脱症状)と感じたら、そのタイミングを捉えて運動するのが効果的です。



禁煙補助薬を上手に活用する

 体重増を嫌って無理な食事制限をすると、禁煙そのものの失敗につながりかねないので注意が必要です。
 ニコチンによる離脱症状を抑え、同時に食欲を抑制しながら禁煙するには、「禁煙補助薬」の利用が推奨されています。

【ニコチン補助薬】
○バレニクリン(チャンピックス)
 ニコチンを含まず、脳内のニコチン受容体を刺激することで離脱症状を軽減するだけでなく、タバコを吸っても美味しく感じないという、ふたつの作用を持つ飲み薬。
 禁煙成功率は6〜8割と、非常に高い。
○ニコチンパッチ
 皮膚に貼り付け、ニコチンを身体に吸収させることで、禁煙時の離脱症状を緩和する。
 タバコと違って、有害なタールは含まれていない。
 パッチを貼りながらタバコを吸うと過剰なニコチン摂取になるので、絶対に避ける。



加熱式タバコも「禁煙」の対象です

 現在、紙巻きタバコのほかに、「加熱式タバコ」という、タバコの葉に熱を加えて発生させる蒸気(エアゾル)を吸引する商品が販売されています。
 比較的新しい種類の商品であるため、健康への影響は十分に明らかになっていません。
 しかし、医療機関や多くの研究機関で加熱式タバコの禁煙が勧められています。
 禁煙外来では、加熱式タバコの禁煙についても治療が受けられます。
 禁煙と体重の問題に悩んでいる方も、医師に相談してください。
 ちなみに、禁煙外来は健康保険が適用されるだけでなく、禁煙に失敗しても、前回の治療開始から1年経過すれば、再度保険適用となります。