熱中症を予防するには、ポイントを知っておくことが大切です。身体的、年齢的、環境的要因(室内・屋外)に分けてご紹介します。
あわせて、身近な方が熱中症になったときの応急処置について確認しておきましょう。
身体的要因=熱中症は体温調整の乱れから起こる
人間の体温は、高くなると汗を出し、その汗が蒸発することで、一定の範囲内に収まるように調整されています。しかし高温多湿の環境で、発汗と汗の気化のメカニズムが阻害されると、命に危険が及ぶほど体温が上昇します。これが熱中症です。
症状としては、発熱、けいれん、嘔吐、意識障害、失神といったことが起こります。
長い期間続くと重篤な症状が
血液中の増え過ぎたブドウ糖が、血管の細胞に入り込むと、活性酸素が発生します。これは、細胞に障害を引き起こす物質です。こうしたことによって、高血糖の状態が長期間に渡って続くと、血管が傷つくと考えられています。
そして、高血糖が続く病気ーそれが「糖尿病」です。
糖尿病になると、いつも喉が渇く、排尿の回数が増える、食事をしても体重が減る、疲れやすいといった症状が起こります。
さらに血管が障害された部位によって、失明や足の切断、腎不全、といった重篤な合併症を引き起こす恐れもあります。
【熱中症予防のポイント】
体温を調整するには、発汗と汗の蒸発の両方が必要。汗のもとになる「水分」をこまめに補給する。湿度が高いと汗は蒸発しにくくなるので、「湿度の高い環境」に注意。
年齢的要因=65歳以上の人は熱中症のリスクが高い
熱中症で死亡する人の割合は、65歳以上の方が87%を占めています。その理由として、加齢によって体温調整の機能が低下している。
喉の渇きを感じにくくなり、水分補給が不足する。暑さを感じにくくなり、エアコンを使用控えしている、といったことがあげられます。
【熱中症予防のポイント】
65歳以上の人は体感に頼らずに、こまめな水分補給とエアコンの使用を。
環境的要図(室内)=熱中症の危険は自宅がもっとも高い
総務省の調査によると、熱中症で救急搬送された人の43.9%は、住居の敷地内で発症していました。これは、屋外の9.4%を大きく上回っています。また、東京都監察医務院の調査では、熱中症により屋内で死亡した人のうち、89.9%がエアコンを使用していませんでした。
【熱中症予防のポイント】
室内の見やすい場所に温度計と湿度計を備えておき、暑さを感じていなくても、室温が28℃、湿度が60%を超えるときは、「積極的にエアコンを使用」する。
自宅でエアコンが使用できない場合は、公民館や図書館、大規模商業施設などで、昼間2時間程度過ごす。
環境的要因(屋外)=真夏日は厳重警戒
屋外での熱中症の危険度を知るための目安に、「暑さ指数(WBGT)」があります。そして天気予報でよく聞かれる言葉に、「真夏日」「猛暑日」という言葉があります。最高気温が30℃を超える日が真夏日、35℃を超える日が猛暑日です。
暑さ指数と真夏日、猛暑日を重ねあわせると、「真夏日は熱中症に厳重警戒」「猛暑日は熱中症の危険日」となります。
また熱中症による死亡率は、気温が30℃を超えると上昇し、34℃を超えると急激に増加します。
【熱中症予防のポイント】
「気温が30℃」を超えていたら、不要不急の外出は控える。屋外での運動は避け、屋外作業には十分な注意を。
熱中症の応急処置
熱中症が疑われる方が近くにいるとき、まず確認しなければならないことは、「意識障害」です。意識がない、意識があっても認識が明瞭ではない、言語の混乱といった場合は、至急、救急車を呼んでください。
救急車を待つ間、できるだけ涼しい場所(室内が理想)へ移動させましょう。
服をゆるめ、太い血管がある箇所(首の前側、腋の下、股関節部)に冷たいタオルなどを当てて冷やします。
できれば、直接身体に水を10Lほど、かけてください。
意識がはっきりしている場合は、「自分で水分を補給できるか」が大切になります。もし、自力で水分補給ができない場合は、早急に医療機関を受診してください。