新型コロナウイルスワクチンの接種が日本でも始まり、「アナフィラキシー」という言葉が以前より報道されるようになりました。アナフィラキシーとは、どういったものなのでしょうか———改めて、確認しておきましょう。
アナフィラキシーはアレルギー反応
フィラキシーは「防御反応」を意味する言葉です。これに、否定を意味する「アナ(ana)」が加わって、有害な防御反応を意味する言葉になりました。
この有害な防御反応とは、アレルギー反応のことです。アレルギー反応には4つのタイプがありますが、特に、迅速に複数の臓器にアレルギー反応が起こることが、アナフィラキシーと定義されています。
アナフィラキシーの症状としては、じんましんや紅斑などの皮膚症状。呼吸困難や腹痛、下痢。めまいや血圧の低下、意識障害といったことがあげられます。
また、症状が重症化してショック状態に陥っている場合は、アナフィラキシーショックと呼ばれ、命の危険をともないます。
アナフィラキシーとアレルゲン
アナフィラキシーへとつながるアレルギー反応を引き起こすアレルゲン(原因物質)には数多くの種類が存在します。
そのなかでも、アナフィラキシーの原因として代表的なものが、食品(食物アレルギー)です。卵や牛乳、小麦、蕎麦、エビやカニといった食品によるアレルゲンがよく知られています。
その他には、蜂やムカデによる虫刺されや、薬物といったものでアナフィラキシーを引き起こされることがあります。
アナフィラキシーの特徴
アナフィラキシーの大きな特徴は、アレルゲンを摂取後、5分から30分以内(食物アレルギーの場合は2時間以内)という短期間で症状が出るケースが多いことです。同時に、症状が急激に悪化することがあります。
アナフィラキシーによる血圧の低下や意識障害がみられる場合は、しっかりとした緊急対応が求められます。
そのうえで、アナフィラキシーによる死亡者数は年間で50~60人と、他の病気と比べて非常に少ないということは知っておく必要があります。
新型コロナワクチンとアナフィラキシー
新型コロナワクチン接種後に、アナフィラキシーが疑われる副反応が見られました。しかし、そのすべての症例において、症状は軽快・回復していることが報告されています。
新型コロナワクチンにおいてアナフィラキシーが引き起こされるアレルゲンは、いくつか候補があります。原因物質の究明が、急ピッチで行なわれているところです。
ワクチン接種した人数に対するアナフィラキシー発症者の割合を、新型コロナウイルスの感染率や死亡率と比較すると、新型コロナワクチンによるアナフィラキシーのリスクはとても小さいものとなっています。新型コロナワクチンは、この点からも安全性の高いワクチンであると評価されています。