40歳以上の方は、一年に一度「肺がん検診」を

肺がん

 せきや痰(血痰)、胸の痛み、息切れといった症状が肺がんでは見られますが、これらは、肺がん以外の病気でも起こります。自覚症状だけでは、肺がんの早期発見は難しいでしょう。肺がんによる死亡リスクを下げるため、ぜひ「肺がん検診」を受けるようにしてください。

肺がんのステージ

 肺がんは、肺や肺に近い気管や気管支にできるがんです。年間では十二万人以上の方が罹患(病気にかかること)するとされ、八万人近くの方が亡くなっています。がんのなかでは、肺がんの死亡率がもっとも高くなっています。
 肺がんは、がんの大きさや浸潤、転移の進行状況によって、大きく5つのステージに分かれます。
ステージが進むほど、五年生存率(診断から五年経過後に生存している患者さんの比率。治療効果の判定のために使われる)が低下していきます。ステージ1であれば、五年生存率は80%を超えますが、ステージ2では50%に下がり、ステージ4では10%を下回っています。
また、肺がんを根治させるためには手術によってがんを取り除くことが必要ですが、ステージ0から3の一部までしか手術療法は行なえません。
 こうした点から肺がんの治療には、早期発見が重要になります。
 しかし、肺がんには肺がんだけに見られるといった特有の症状がないため、自覚症状だけではがんの発見が遅れる可能性が高くなっています。このため肺がんの早期発見には、「肺がん検診」の受診が欠かせません。


一年に一度は肺がん検診を

 肺がん検診では、男女の区別なく40歳以上の方であれば、一年に一回以上の検査が勧められています。これは、肺がんの進行が早いためです。
 肺がん検診では、肺がんに対するハイリスク群の方とそうではない方に分けられます。
 ハイリスク群には、「喫煙指数」が400以上か、あるいは600以上の人が該当します。喫煙指数は「一日に吸う煙草の平均本数」×「喫煙本数」で表わされます。例えば、毎日20本の煙草を30年以上吸い続けている人は、喫煙指数が600を超えるため、確実にハイリスク群に入ります。
 ハイリスク群に該当する場合は肺がん検診のときに、問診と胸部X線検査(レントゲン検査やCT検査)に加えて、「喀痰(かくたん)検査」が行なわれます。
 喀痰検査では、3日間採取した痰に、がん細胞が含まれていないかを検査します。喀痰検査では、胸部X線検査では見つけにくい、肺の中枢に発症した早期がんを検出することができます。このタイプの肺がんは、喫煙が大きな原因となっています。ハイリスク群の方は、ぜひ、喀痰検査を受けるようにしましょう。




最大のリスク要因は、喫煙

 肺がんのリスク要因として、もっとも大きなものは喫煙です。調査によって数字に違いはありますが、喫煙者は非喫煙者に比べて、おおむね4~5倍以上、肺がんになるリスクがあるとされています。
 ただ、かつては喫煙していても、禁煙している年数が長くなればなるほど、肺がんを患うリスクは少なくなります。喫煙と肺がんの関係については、常に考えていく必要があります。